LIFE3.0-人工知能時代に人間であるということ
著者:マックス・テグマーク(翻訳: 水谷 淳)
出版社:紀伊國屋書店
分類:科学読み物、人工知能
出版日:2019/12/27
読みやすさ:☆☆☆(とても読みやすい)
理論物理学者でありながらAI研究も積極的に行っているマックス・テグマーク氏(マサチューセッツ工科大学教授)による一般向けの著書。人工知能(AI)の将来、特に(人間レベルの)汎用人工知能(AGI)が人類に与える影響について、社会の在り方と関連付けながら平易に解説している。
ほぼすべての科学者が、将来的にはAGIが誕生することを認めてはいるものの、それが近い将来なのか遠い将来なのか、またAGIの誕生が人類にとって脅威となるのか恩恵となるのかは意見が分かれるようだ。いずれにせよ、将来を受け身的に考えるのではなく、どのような未来を望み、そのために何をなすべきか考える必要があるという著者の主張は強く印象に残った。
最終的に何が起こるかに関しては、現在のところ、真剣に考えている思索家のあいだでも意見がまちまちだ。(中略)まるで答えがあらかじめ決まっているかのように、受け身的に「何が起こるのか」と問うのは間違いだ。(中略)そこで本当は、「何を起こすべきか?我々はどんな未来を望むのか?」と問いかけなければならない。(233頁)
なお、全体的にはとても読みやすいのだが、第6章の宇宙論に関連する部分は正直言ってかなりハードルが高い。内容を正しく理解できる人は宇宙論の研究者に限られるのでは?と感じた。