読む・打つ・書く:読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々

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著者:三中 信宏

出版社:東京大学出版会

分類:科学読み物、ノンフィクション

出版日:2021/6/19

読みやすさ:☆☆☆(とても読みやすい)

 

タイトルの「読む・打つ・書く」は、それぞれ「読書・書評・執筆」のことを指す。基本的には、理系の本を対象にしてどのように「読む・打つ・書く」べきかが書かれているが、理系研究者以外の人が読んでも参考になる内容だと思う。特に文系の人が読むと新しい発見がたくさんあるのでは?と思うが、本書でも少し触れられているようにあまり文系・理系を切り分けるのは良くないのかも・・・。

 

個人的に面白かったのは「打つ」すなわち「書評」の部分。「書評」は基本的には自分のためというのが著者の主張で、数多ある「書評」を解釈する際に確率分布を持ち出すのは(生物)統計学を専門にする著者ならでは。「書評」の平均値だけでなく、ばらつき(分散や標準偏差)を考慮して外れ値(褒め過ぎや貶し過ぎなもの)を除外するというのは興味深い。

 

「書く」に関しては個人的に本の「執筆」はしないので参考程度に読んだが、それでも「執筆」というのが大変な作業である反面、特に「執筆」する本人にとって非常に重要な意味を持つということが伝わってきた。著者曰く、学術論文の執筆は微分型であるのに対し、本の執筆は積分型の作業とのこと。時間ができたら「書く」というのは「書かない」言い訳に過ぎないというのは耳が痛い・・・。