通訳者たちの見た戦後史 月面着陸から大学入試まで

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著者:鳥飼 玖美子

出版社:新潮社

分類:通訳・翻訳

出版日:2021/5/28

読みやすさ:☆☆☆(とても読みやすい)

 

著者自身とその先達のエピソードに焦点を当てた、通訳者に関するエッセイという印象。読みやすさに反して、扱っている内容は決して軽いものではない。著者の言うように、コミュニケーション一辺倒で文法軽視の風潮は、第二言語の習得という意味では大いに問題であろう。著者は早期英語教育にも警鐘を鳴らしており、大いに共感するところである(確か、小さな巨人と呼ばれた緒方貞子さんも同様のことを言われていたはず)。日本人と比べて欧米人は年齢を気にしない(年齢にかかわらずファーストネームで呼び合う)など、言語はいわゆるコンテクストと表裏一体。日本語を第一言語として位置づける限り(英語を第一言語にスイッチするのであれば別だが)、日本的な土台の上に英語という言語を構築するわけで、幼少期のうちに両者を変に混在させるのはやはり危険だろう。