センサ工学の基礎(第3版)

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著者:山﨑 弘郎

出版社:オーム社

分類:電子工学

出版日:2019/12/14

読みやすさ:☆☆★(7章を除き読みやすい)

 

色々なセンサについて網羅的に(広く浅く?)説明した入門書です。特に第4章の力・圧力のセンサや、第5章の長さ・速度センサは比較的馴染みがあり、全体的に読みやすい印象です。ただ、7章の固体センサデバイス半導体センサについては、この領域の知識があまりないため、結局何を言いたいのかが理解できない箇所が部分的にありました。このあたりは他の入門書で補ったうえで、再度トライしたいと思います。

 

センサの一般論として、「入力側、出力側のそれぞれに示強変量と示容変量が対の形で存在」し、「両者の積がエネルギー、あるいはエネルギーの時間変化率であるパワーとなる」こと、「信号に使用されない変量の存在は変換の不確かさの原因となる」ことは新しい発見でした。

 

第4章 力・圧力のセンサ

4.1 力・トルクセンサ

力の計測は、弾性体に力を加えたときの弾性変形にもとづく弾性力と加えた力とを平衡させて、変形による変位を計測して求める。

変位を電気信号に変換するためには、まず変位をインピーダンスの変化に変換し、そのインピーダンスの変化を利用して、電圧、電流などの出力信号とする。

4.2 抵抗変換型ひずみセンサ

4.2.1 金属抵抗ひずみセンサ

ひずみ(ΔL/L)と抵抗の変化率(ΔR/R)との比はセンサ固有の感度で、ゲージファクタという。

4.2.2 半導体抵抗ひずみセンサ

半導体抵抗ひずみセンサは金属抵抗線の代わりにシリコン半導体の抵抗を利用したもので、金属に比べて感度が高いのが特徴である。

π*1E*2がゲージファクタを左右するので、半導体ひずみセンサは金属ひずみセンサに比べて感度が大きい。

4.3 容量型変位センサ

変位をC*3の変化に変換するには距離d*4を変えるか、電極を電極面に平行に動かして電極の実効対向面積Aを変える。

4.4 誘導型変位センサ

誘導型変位センサは強磁性体の鉄心(コア)にコイルを巻いた構造で、磁路に可変の隙間がある。(中略)隙間dの変化がインダクタンスLの変化から求められる。

4.5 加速度センサ・振動センサ

外力の振動角周波数がサイズモ系の固有振動周波数より大幅に高い場合(中略)慣性質量m不動点となり、mのフレームに対する相対変位が外部から加えられた振動の変位を示す。(中略)したがって、振動センサとして使用できる。

外力の振動角周波数がサイズモ系の固有角周波数より大幅に低い場合(中略)x*5は外力による振動の加速度に比例する。サイズモ系は加速度センサとして使用できる。

 

7章 固体センサデバイス半導体センサ

7.1 半導体物性の基礎

価電子は共有結合に束縛されているが、熱や光により励起されると結晶中を動き回ることのできる自由電子を生じ、それが電気伝導の役割を果たす。

不純物から供給される電子により電気伝導が支配される半導体n型半導体、電子を与えるⅤ族の不純物をドナー(donor)と呼ぶ。

不純物から供給される正孔によって電気伝導が支配される場合をp型半導体といい、Ⅲ属の不純物をアクセプタ(acceptor)と呼ぶ。

 

第8章 温度計測と温度センサ

8.2 熱電温度計とセンサ

金属AとBからなる閉回路を1か所で切り開くと、熱起電力が切り開いた回路の両端に生じる。熱起電力は2接点の温度U1U2によって定まる。(中略)これが熱電対thermo couple)と呼ばれる温度センサの基本原理である。

 

*1:ピエゾ抵抗係数と呼ばれる比抵抗変化率と応力との関係を示す比例定数

*2:ヤング率

*3:平行平板コンデンサの容量で単位はF

*4:電極間の距離

*5:フレームと質量との相対変位