イラストで学ぶ ロボット工学

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51B9kK6ChgL._SX358_BO1,204,203,200_.jpg

著者:木野 仁(著)、谷口 忠大(監修)

出版社:講談社

分類:メカトロ・ロボット工学、コンピュータ・IT(本)

出版日:2017/11/22

読みやすさ:☆☆☆(とても読みやすい)

 

家庭用ロボット(ホイールダック2号@ホーム)にマニピュレータ(ロボットアーム)の制御を実装する、というストーリーで説明が進む。本のタイトル通りイラストが多く使われており、扱われている内容も広く浅くといった感じで読みやすい。

 

第2章:基本的な制御(並進系)

P制御のPは英語のproportionに由来し、比例を意味する。そこで、P制御のことを比例制御ともいう。P制御では力fを次式で与える。

 f = Kp (xd - x(t))

(中略)このように、比例定数Kpの値を調整することで仮想的なバネの強さを変え、結果としてホイールダック2号の運動特性を変化させることが可能となる。P制御において、この調整可能な比例定数Kpのことを比例ゲインと呼ぶ。

PD制御はP制御に仮想的なダンパ(減衰器)という要素を加えたものである。(中略)

 f = Kp (xd - x(t)) - Kv v(t)

(中略)このKv速度ゲイン微分ゲインと呼び、速度に比例したブレーキ力の大きさを表す係数である。速度は距離の時間微分であり、英語で微分のことをderivationということから、比例・微分制御、すなわちPD制御と呼ぶのである。

 

第7章:ロボット用センサ

7.2 角度センサ

ポテンショメータは電気抵抗をもつ直流回路を利用した角度センサである。(中略)ポテンショメータの一般的な特徴として、「構造が簡単」「安価」などの長所が存在するが、点Bが電気抵抗線と物理的に接触して移動するため、接点が摩耗して破損しやすく「寿命が短い」ことや、周囲の電磁波の影響などから電圧計測の際に「ノイズが生じやすい」などの短所がある。

7.3 各速度センサ

直流モータの2つの特性、「磁界中で導線に電流を与えて力を発生させる」ことと、逆に、「磁界中に導線を運動させて、電圧を発生させる」こととは、表裏一体の性質であるといえる。(中略)このように、直流モータは単にアクチュエータとしての機能だけでなく、発電機としての機能を併せ持つ。

7.4 力センサ

力センサに加えられた力により、歪ゲージ内部の電気抵抗値が比例で変化することがわかる。(中略)しかし、電気抵抗はコンピュータなどに値をそのまま取り込むことができない。そこで、式(7.10)*1の抵抗値変化を電圧として読み取る方法を考えよう。ここで登場するのがホイートストンブリッジ回路である。(中略)この原理を使って、歪ゲージの抵抗値の変化を電圧として読み取ることを考える。

 

*1:ΔR = (ρkl/S)f:力fによる歪ゲージの電気抵抗線の抵抗値変化ΔR、抵抗率ρ、比例定数kl、面積S